DX
営業DXの目的とは?役立つツールや実践事例を紹介

営業DXとは、デジタル技術を活用して営業活動そのものの在り方を見直し、変革する取り組みです。
近年、顧客ニーズの多様化や市場環境の変化に柔軟に対応する手段として注目が集まっています。
本記事では、営業DXの目的や推進に役立つツール、実践事例などをわかりやすく解説します。
営業DXとは|データ活用による効率化と提案力の強化
営業DXとは、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)などのデジタルツールを用いて、営業活動の効率化と提案力の強化を図る取り組みです。
具体的には、顧客情報や商談履歴などのデータを一元管理・可視化することで、属人化を防ぎ、担当者が変わっても一貫性のある対応や提案ができるよう、情報共有と業務標準化の仕組みを整備します。
これらのツールを活用して蓄積された顧客データは、マーケティング施策にも応用できます。
営業DXの3つの目的
営業DXの主な目的は以下の3つです。
- ルーティン業務の属人化解消と業務効率化
- 多様化する顧客行動への対応
- データに基づいた営業戦略
ここでは、それぞれの目的を解説します。
関連記事:DX(デジタルトランスフォーメーション)の目的とは?達成のポイントや事例を紹介
ルーティン業務の属人化解消と業務効率化
営業DXの目的のひとつが、属人化しやすいルーティン業務の見える化と効率化です。
日々の営業活動には、顧客対応に加えて業務報告や受発注処理、スケジュール管理など多くの定型業務が含まれます。
これらは担当者個人に依存するケースも多く、属人化やヒューマンエラーの発生に加えて、業務のブラックボックス化も招きやすくなります。
たとえば、DX推進によりスケジューリングや顧客情報をデジタルで管理できるようになると、業務の標準化・可視化が進み、作業負担の軽減やミスの防止などの効果が期待できます。
DXによってルーティン業務を可視化・標準化することで、属人化を防ぎ、業務効率を高めることが可能です。
関連記事:業務属人化の解消方法、解消するメリットや解消に役立つツールを解説
関連記事:業務効率化を図る取り組み6選|進め方や効果を高めるポイントを解説
多様化する顧客行動への対応
営業DXは、多様化する顧客行動に柔軟に対応するためにも不可欠です。
近年では、顧客の行動は対面中心からオンライン中心へとシフトし、「デジタル志向」の傾向が強まっています。
営業活動においても、訪問営業だけでなく、インサイドセールスやオンライン商談などの使い分けが求められるようになりました。
ただし、変化の激しい時代においては、顧客ニーズの移り変わりも早く、単にオンライン化しただけでは適切な対応が困難なケースも少なくありません。
営業DX推進により、顧客の行動履歴や関心の傾向を可視化・分析できるようになり、ニーズに合った的確な提案が可能になります。
データに基づいた営業戦略
データに基づいた戦略的な営業活動を実現することも、営業DXを推進する目的のひとつです。
CRMやSFAなどのツールを導入すると、顧客情報や営業履歴、案件の進捗などを蓄積・可視化できるようになります。
これにより、客観的なデータに基づいた判断が可能です。
たとえば、リアルタイムで案件の動きを把握しやすくなるため、タイミングや顧客ニーズを逃さず、営業の精度を高められます。
営業DXは、データに基づいた営業戦略を立てることを目的とし、営業の合理化や成果向上をもたらします。
営業DXの推進を阻む課題
営業DXの重要性が高まるなかで、CRMやSFAなどのシステムを導入する企業は増加傾向にあります。
しかし、導入にとどまり、十分に活用できていないケースも少なくありません。
営業活動に関する調査では、およそ7割の企業が営業DXは進んでいないと回答し、営業DXの推進に課題を抱えていると報告されています。
主な要因は、デジタルツールを使いこなせる人材の不足に加え、経営層と現場との間でDXの目的や必要性に対する認識のずれがあることです。
こうした課題が解消されないままでは、営業担当者のモチベーション低下や、離職率の上昇など、組織全体に悪影響を及ぼす恐れがあります。
営業DXを推進するには、技術導入にとどまらず、人材育成や意識改革などの取り組みも重要です。
関連記事:DXを進める組織は変革が不可欠!類型や必要な機能、事例を紹介
参考記事:Sansan、「営業活動における実態調査」を実施|PR TIMES
営業DXに役立つツール3つ
営業DXに役立つ主なツールは以下の3つです。
- SFA(営業支援システム)
- CRM(顧客関係管理)
- MA(マーケティングオートメーション)
それぞれの違いは以下のとおりです。
システム名 | 特徴 | 主な機能 |
SFA(営業支援システム) | 営業活動内容の一元化・共有・可視化できる | 顧客管理・営業進捗管理・営業担当の行動管理・営業データの予測・分析 |
CRM(顧客関係管理) | 顧客との関係を一元管理できる | 購買履歴管理・問い合わせ管理・メール一括配信 |
MA(マーケティングオートメーション) | 営業やマーケティング活動の自動化 | 顧客解析・リード情報管理 |
本項では、各システムの特徴を解説します。
関連記事:ベストオブブリードの意味は?メリット・デメリットやスイートとの違いも解説
SFA(営業支援システム)|営業活動の可視化と効率化に役立つ
SFA(Sales Force Automation)は、営業活動の進捗や案件状況をデジタルで一元管理できる営業DXに有効なツールです。
たとえば、商談の進捗管理や顧客対応履歴、契約の記録などを可視化・共有でき、顧客情報の属人化防止に役立ちます。
これにより、担当者が変わっても必要なデータにアクセスできる体制が整い、組織全体で効率的な営業を展開しやすくなるでしょう。
SFAの導入は、営業活動の効率化と再現性のある体制づくりを支える重要な基盤と言えます。
CRM(顧客関係管理)|顧客データの一元化が可能
CRM(顧客関係管理)は、顧客データを一元管理し、顧客との良好な関係性の構築・維持に役立つため、営業DXを支える重要なツールのひとつです。
氏名や連絡先といった基本情報に加えて、購買履歴や問い合わせ内容、接触履歴などを一元的に管理・分析できます。
これにより、顧客ごとの嗜好や行動パターンを把握しやすくなり、個別ニーズに寄り添った提案やフォローアップが可能です。
また、部署や担当者をまたいでも顧客対応の一貫性を保つことができ、長期的なロイヤルティ向上を支える基盤と言えるでしょう。
MA(マーケティングオートメーション)|営業・マーケティング活動を自動化
MA(マーケティングオートメーション)は、営業やマーケティング活動の自動化を実現するツールです。
とくに、効率的な営業活動を行うには、潜在顧客へのナーチャリング(顧客育成)が欠かせません。
MAを導入することで、蓄積された顧客データをもとに、関心や行動履歴に応じた最適なタイミングや内容でアプローチしやすくなります。
パーソナライズされた情報提供を通じて見込み客の関心を引き出し、商談化の確率を高めることで、営業DXの成功にもつながるでしょう。
営業DXを行った企業の実践事例
営業DXを行った企業の実践事例を2つ紹介します。
- 営業プロセスの可視化により属人化が解消|株式会社LIFULL
- AIの導入でクリエイティブな営業活動が活性化|日清食品ホールディングス株式会社
営業プロセスの可視化により属人化が解消|株式会社LIFULL
株式会社LIFULLでは、営業担当者の退職や異動時に情報の引き継ぎが円滑に行えないという課題を抱えていました。
そこで営業DXを推進し、営業プロセスのデジタル化と標準化を実現しています。
たとえば、案件ごとのフェーズをデータ化することによって、各担当者が保有する情報の管理・蓄積・共有がスムーズになり、属人化の解消に成功しました。
さらに、過去の商談データを活用し、失注となった顧客へ再アプローチするような仕組みを導入しています。
これにより、受注率が20%向上する結果につながりました。
営業DXによって、営業活動の可視化・データ化が進み、属人化を解消させた好事例と言えるでしょう。
AIの導入でクリエイティブな営業活動が活性化|日清食品ホールディングス株式会社
日清食品ホールディングス株式会社では、独自開発された対話型AI「NISSIN AI-chat」を導入し、生産性の向上を図っています。
経営トップが率先して生成AI活用の企業風土を醸成し、営業部門を含む全社でDXを推進している状況です。
従来、営業担当者が個別に対応していたプロモーション施策のアイデア出しも、生成AIの活用により短時間で多様な構想を得られるようになりました。
また、顧客情報の収集やプレゼン資料の骨子制作にもAIを活かし、営業担当者の負担軽減と顧客満足度の向上を両立している点も特徴です。
2023年の導入以降、活用の幅は着実に広がっており、2024年3月の段階で営業部門における生成AIの利用率は約7割に達しています。
DXを推進して営業活動の効率化を図ろう
営業活動は、非効率になりやすく属人化にも注意が必要であり、課題解決には営業DXの推進が有効です。
SFAやCRMなどのツールを活用し、情報を一元管理できる体制を整えることで、業務の標準化と生産性向上が期待できます。
あわせて、組織全体の意識改革にも取り組み、変化に強い営業体制の構築を目指しましょう。
ノムラシステムでは、専属のコンサルタントがDX推進をサポートします。
営業DXの導入でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら