DX
DX(デジタルトランスフォーメーション)の目的とは?達成のポイントや事例を紹介

DX推進には、業務効率化やシステム刷新などさまざまな目的があります。
効果的にDXを進めるには、自社の状況や課題に応じて、その目的を正しく理解することが大切です。
本記事では、DXの目的を解説するとともに、達成のポイントや事例も紹介します。
DX推進の主な目的
DXの主な目的は以下の5つです。
- 業務効率化とコスト削減のため
- 顧客体験を向上させるため
- 新たなビジネスモデルを創出するため
- 企業文化・組織の変革を図るため
- レガシーシステムを刷新するため
本項では、それぞれの目的をわかりやすく解説します。
業務効率化とコスト削減のため
DXの重要な目的のひとつが、業務効率化とコスト削減です。
2030年問題をはじめとした少子高齢化による労働力不足が問題視されるなか、生産性の向上は企業にとって喫緊の課題となっています。
とくに、アナログ業務は属人化しやすく、非効率な作業が慢性化しがちです。
こうした状況を打開するには、デジタル技術の活用が欠かせません。
業務の自動化が進めば、アナログ業務と比べて処理スピードが向上します。
これにより、人員配置の最適化がしやすくなり、人件費をはじめとするコスト削減も実現可能です。
DXは単なる効率化ではなく組織全体の変革を見据えた取り組みですが、効率化・コスト削減はその第一歩として重要な位置付けにあります。
関連記事:業務効率化に成功した事例6選!効率化のメリットやアイデアも紹介
顧客体験を向上させるため
企業が顧客と接するあらゆる場面において、満足度の高い体験を提供することもDXの目的です。
顧客は「モノ」だけでなく購入前後を含めた一連の「体験」に価値を見出す傾向が強まっています。
価格や品質に加え、利便性や個々の目的に応じた提案が選択の決め手となることも多いでしょう。
ニーズに応えるためには、顧客の満足度やロイヤルティを向上させる体験を提供することが重要です。
たとえば、ECサイトにAIを導入してパーソナライズした提案を行い、顧客体験が向上したDX事例があります。
DXによって顧客体験が向上すれば、企業は競争力を高めると同時に、顧客との信頼関係を築くことが可能です。
新たなビジネスモデルを創出するため
DXの目的として、新たなビジネスモデルの創出も挙げられます。
急速に変化する市場環境において企業が持続的に成長するには、デジタル技術を活用し、顧客に新たな価値を提供できるビジネスを生み出していくことが求められるためです。
たとえば、AIやIoTといった技術を導入し、製品を単なるモノではなく継続的なサービスとして提供することで、長期的な収益基盤を築くことが可能です。
さらに、データを活用することで顧客ニーズの変化をタイムリーに捉え、柔軟にサービス内容を最適化することもできるため、競争力の向上にもつながります。
企業文化・組織の変革を図るため
企業文化・組織の在り方を見直し、変化するビジネス環境に対応できる組織への変革もDXの目的のひとつです。
年功序列や属人的な意思決定といった従来の企業体質では、変化の激しい現代の市場環境に対応しきれません。
こうした習慣から脱却するには、経営層と現場の対話を促し、部門を超えて連携できる柔軟な組織づくりが必要です。
たとえば、デジタルツールを活用して部門横断的な情報共有を促進し、現場と経営層がリアルタイムで課題を共有する取り組みなどは、組織風土の変革につながる事例といえるでしょう。
レガシーシステムを刷新するため
老朽化したシステム(レガシーシステム)を刷新し、将来的に事業を継続させる体制を構築することもDXの重要な目的です。
たとえば、部門ごとに異なるシステムを使用している場合(サイロ化)、保守運用が煩雑になります。
さらに、システム運用に関するノウハウが特定の従業員に依存しやすくなり、ブラックボックス化が進行するリスクもあります。
こうしたレガシーシステムから脱却するためには、時代に即した柔軟なIT基盤の整備が不可欠です。
基幹システムの入れ替えにより、DX推進の土台が構築された事例も報告されています。
DXにおいてレガシーシステムを刷新することは、業務標準化や新たなビジネスモデルを創出するためにも欠かせません。
関連記事:レガシーシステムとは?
DXの目的を達成するためのポイント
DXの目的を達成する主なポイントは以下のとおりです。
- DXの目的に即した目標を明確にする
- 横断的な推進チームを立ち上げる
- 現状や課題を可視化する
- 段階的にデジタル導入を進める
- 変革に必要な価値観や行動指針を定義・共有する
DXの成功には、目的に基づいた明確な目標設定と、全社的に取り組む体制づくりが欠かせません。
現状や課題を客観的に把握したうえで段階的にデジタル導入を進めることが重要です。
また、デジタル技術の導入だけでなく、価値観や行動指針を組織全体で共有し、変革への共通認識を持つこともDXを推進するポイントとなります。
DXの目的を達成した自治体・企業事例
DXの目的を達成した自治体や企業の成功事例を紹介します。
福島市|高齢化社会への対応を目的としたDXの推進
福島市では、高齢者を含むデジタルに不慣れな層でもデジタル化の恩恵を受けられる体制の構築を目的にDXを推進しています。
取り組みの一環として、高齢者同士でICTを学べる場を設けたほか、シルバー人材センター内にICT班を設立しました。
さらに、これまでの相談内容に基づいた高齢者向けのスマートフォン活用ハンドブックも作成しています。
取り組みの結果、60歳以上のスマートフォン普及率は、60代が83.1%、70代が61.4%と全国平均を上回っている状況です。
福島市公式LINEのシニア登録率も上昇しており、当初掲げた「高齢者にやさしいデジタル化」という目標を達成しつつあることがうかがえます。
松本興産株式会社|企業風土の変革を目的としたDXの推進
松本興産株式会社では、従業員間のコミュニケーションや定着率に課題を感じ、より開かれた企業風土への変革を目指してDXを進めています。
具体的には、社長主体だった意思決定体制を見直し、経営者視点を従業員と共有する機会を設けました。
また、属人化していたExcelデータのアプリによる可視化に取り組んでいます。
これらは、従業員自らのデータに基づく意思決定につながりました。
取り組みを成功に導いた背景にあるのが、従業員の心理的安全性の確保です。
DXに対する不安やデジタル化への苦手意識を払拭する施策を通じて、DX推進から3年で全従業員にデジタルスキルが浸透しました。
その結果、従業員がDXに向けて主体的に行動する組織文化が定着しています。
DXの目的を明確にして変革を進めよう
DXの目的は、業務効率化やコスト削減の実現にとどまらず、顧客体験の向上にもあります。
さらに、新たなビジネスモデルの創出や、組織や企業文化の変革、レガシーシステムの刷新など、多面的な取り組みが求められるのがDXです。
DXを成功に導くには、目的を明確にしたうえで、さらに具体的な目標を設定することが重要になります。
効率よくDXを進めたい場合は、DXコンサルティングの利用がおすすめです。
ノムラシステムでは、専属のコンサルタントが丁寧にサポートいたします。
DXコンサルティングをご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら