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省人化とは?省力化・少人化との違いから具体例、進め方までわかりやすく解説
人手不足が深刻化する中、多くの企業で注目されているのが「省人化」です。省人化とは、ロボットやITツールを活用し、業務プロセスを見直すことで、必要な人員数を抑えながら生産性を高める取り組みを指します。
本記事では、省人化の基本的な考え方から、似た言葉との違い、具体的な業務例、導入の進め方までを体系的に解説します。
省人化とはツールの導入を行い、生産性を向上させる取り組み
省人化とは、業務プロセスの見直しやロボット・ITツールを導入し、生産性の向上を図り、業務に従事する人員数を削減する取り組みを指します。。単なる人員削減ではなく、業務のムダや属人性を排除し、「少ない人数でも業務が回る状態」を構築することが本質です。
関連記事:人手不足が進む中での生産性向上の実現に向け、「現場力」を再構築する「経営力」の重要性:2018年版ものづくり白書
省人化と似た言葉に省力化と少人化があります。いずれも人手不足や生産性向上と深く関わる言葉ですが、指している目的や考え方はそれぞれ異なります。
下記が省人化と省力化、少人化の違いをまとめた表となっているので、自社の課題に合った考え方を選ぶことが重要です。
| 項目 | 省力化 | 省人化 | 少人化 |
| 主な目的 | 作業の負担・労力を減らす | 必要な人員数を減らす | 最小人数で業務を回せる体制をつくる |
| 着眼点 | 作業内容・工程 | 人員構成・人数 | 需要変動への柔軟性 |
| 人数削減 | 必ずしも発生しない | 削減を前提とする | 状況に応じて変動させる |
| 状態のイメージ | 作業が楽になる | 少ない人数でも回る | 仕事量に応じて人数を増減できる |
| 関係性 | 省人化の前段階になることが多い | 少人化の基盤となる | 省人化を進めた先にある考え方 |
省人化が求められるようになった背景
省人化が必要とされる背景には、幅広い業界で深刻化している労働力不足があります。その主な要因は生産年齢人口(15~64歳)の減少であり、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)まで減少すると推定されています。
このような環境下では、人手を増やすことで事業を維持・拡大することが難しく、限られた人員で成果を向上させる体制づくりが不可欠です。
そのため、業務の自動化やIT活用によって人員への依存を抑え、労働生産性を向上させる省人化が、多くの企業で必要とされています。
省人化できる業務の特徴について
省人化は、すべての業務に適用できるわけではありません。下記のような業務は省人化により効果が出やすいとされています。
- 作業手順や判断基準が明確な、定型的・ルールベースの業務
- 毎日・毎月行うようなルーティン業務
- データ入力や集計など、データを扱う業務
これらの業務は、自動化やツールとの親和性が高く、人手を減らしても品質やスピードを維持しやすい点が特徴です。省人化を進める際は、まず業務内容を可視化し、システムに置き換えられる工程から優先的に検討することが重要です。
省人化の具体例
省人化は下記のような業務に活用をされています。
- チャットボットでの問い合わせ対応
- モバイルオーダーの導入
- 経費精算ツールの導入
- セルフレジの導入
チャットボットでの問い合わせ対応
チャットボットによる問い合わせ対応は、省人化の代表的な具体例の一つです。Webサイトやアプリ上でFAQなどの定型的な質問に自動回答できるため、コールセンターやカスタマーサポートの工数削減に直結します。
人の手を介さずに処理できる問い合わせが増えれば、オペレーターは複雑な相談や個別対応といった付加価値の高い業務へ注力しやすくなるでしょう。
さらに24時間対応も可能となり、利用者の利便性向上や待ち時間の削減にも有効です。
モバイルオーダーの導入
モバイルオーダーは、利用者がスマートフォンから注文と決済までを完結できる仕組みであり、飲食店における省人化の代表的な施策の一つです。
注文受付や会計処理をシステムに任せることで、ホールスタッフが担っていた業務負担を大きく軽減できます。口頭でのやり取りが不要になるため、注文内容の聞き間違いや入力ミス、会計時の金額間違いといったヒューマンエラーの防止にも効果的です。
業務効率化とサービス品質の安定を同時に実現できる点が、モバイルオーダー導入の大きな特長といえます。
経費精算ツールの導入
経費精算ツールの導入は、バックオフィス業務における省人化施策の一つです。以前は紙やExcelで行われていた申請・承認・精算業務をデジタル化することで、作業負担を軽減できます。
ツールによっては、領収書を撮影するだけでAI-OCRが金額や日付を自動で読み取るため、手入力や転記作業が不要になります。申請から承認までの作業も自動化され、承認待ちによる停滞や手戻りを防ぎやすくなります。
経費データをリアルタイムで可視化できる場合もあり、経理担当者は確認や分析といった付加価値の高い業務に集中することも可能です。
セルフレジの導入
セルフレジは、来店客自身が商品の登録や支払いを行う仕組みです。小売業の省人化施策として導入が進んでいます。
レジ業務をシステムに置き換えることで、スタッフが常時対応する必要がなくなり、人件費や人手不足の緩和につながります。繁忙時間帯でも複数台を同時に稼働できるため、レジ待ちの行列を減らし、店舗全体の回転率も向上します。
さらに、金額入力や会計処理を自動化することで、打ち間違いや釣銭ミスといったヒューマンエラーの防止にも効果的です。スタッフを接客や売場管理などの業務に配置できる点も、セルフレジ導入による省人化の大きなメリットといえます。
省人化を行うことによって得られるメリット
省人化は、単に人を減らすことを目的とするものではなく、業務全体の効率や質を高めるための取り組みです。主なメリットとして、次の点が挙げられます。
- 定型作業を自動化することで、業務負担を軽減できる
- ヒューマンエラーが減り、業務品質の安定につながる
- 無駄な工程が削減され、生産性が向上する
- 人材を付加価値の高い業務へ再配置しやすくなる
省人化は人件費削減だけを目的とした施策ではなく、業務プロセスの見直しや自動化を通じて、組織全体の生産性や競争力を高める点に価値があります。人に依存しない体制を構築することで、事業成長にもつながる点が大きな特徴です。
省人化するデメリット
省人化は多くのメリットがある一方で、事前に理解しておくべきデメリットも存在します。主に次のような点が課題として挙げられます。
- ツールやロボット導入に初期費用・運用コストがかかる
- AIやRPAなどを扱うための専門人材の育成・確保が必要になる
- システム障害やトラブル時に業務が停止するリスクがある
これらのデメリットは、省人化が単なるツール導入ではなく、業務プロセスや組織体制の変革を伴う取り組みであることに起因します。費用対効果の算定や段階的に導入していくこと、現場に丁寧な説明を行うことで、防止が可能です。
省人化を行う際のステップ4つ
省人化を成功させるためにも、どのような流れで行うかは重要です。下記のような手順で行うと良いでしょう。
- ステップ1:目的の明確化
- ステップ2:業務工程の洗い出し
- ステップ3:ロボットやAIの要件定義
- ステップ4:ロボットやAIの実装
ステップ1. 目的の明確化
省人化を進める際、最初に行うべきなのが「目的の明確化」です。なぜ省人化に取り組むのかを整理しないまま進めると、ツール導入が目的化してしまい、十分な効果が得られないケースが発生してしまいます。
省人化の目的には、人手不足の解消、コスト削減、生産性向上、品質の安定化などが考えられます。目的を具体化することで、どの業務を優先的に省人化すべきか、導入効果をどの指標で測るかが明確になります。
ステップ2. 業務工程の洗い出し
省人化を進めるうえで重要なのが、現状の業務工程を洗い出し、可視化することです。業務全体の流れや作業手順、担当者、所要時間、発生頻度などを整理することで、どの工程にムダや非効率があるのかが明確になります。
特に、作業が重複している部分や、特定の人に依存している属人化業務は、優先的に省人化を行う業務です。業務フロー図の作成や現場担当者へのヒアリングを行うことで、書類やデータだけでは見えない課題も把握しやすくなります。
ステップ3. ロボットやAIの要件定義
要件定義とは、省人化のために導入するロボットやAIが「何を実現すべきか」を明確にする工程です。目的や業務工程の洗い出しを踏まえ、解決したい課題や目標値を整理することで、導入の方向性が定まります。
具体的には、自動化する作業内容や必要な機能、精度といった性能要件、既存システムとの連携条件などを定義します。また、例外処理やトラブル時の対応まで想定しておくことが重要です。
ステップ4. ロボットやAIの導入
ロボットやAIの導入は、要件定義で整理した内容をもとに、実際の業務へ組み込みます。まずは目的に合ったツールや機器を選定し、費用対効果を踏まえて導入可否を判断すると良いでしょう。
導入後、すぐに全社展開するのではなく、特定の工程で試験導入(PoC)を行い、精度や運用上の課題を確認することが一般的です。その後、既存システムとの連携や設定を行い、現場業務にエラーなどが起きないように組み込みます。
省人化を正しく理解し、自社に合った形で生産性向上を実現しよう
省人化は、単に人を減らす施策ではなく、業務プロセスを見直し、ツールやITを活用することで、生産性を高めるための取り組みです。省力化や少人化との違いを正しく理解し、自社の課題や業務特性に合った方法を選ぶことが重要になります。
ノムラシステムは、省人化や業務効率化を目的としたシステム導入・業務改善を支援してきた実績を持つITパートナーです。
現場の業務内容を丁寧に把握したうえで、ツール導入ありきではなく、「どの業務を、どのように省人化すべきか」という設計段階から伴走します。人手不足や生産性向上に課題を感じている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
東京MXの番組で、ノムラシステムコーポレーションが取り上げられました。詳しい内容を知りたい方は、ぜひ下記のYouTube動画をご覧ください。
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