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SAP製品による在庫管理とは?メリットや基本機能を解説

SAP製品による在庫管理は、在庫数や金額のリアルタイム把握を可能にし、過剰在庫や欠品の抑制に役立ちます。
また、業務効率化や経営判断の迅速化を後押しする点も特徴です。
本記事では、SAP製品を活用した在庫管理のメリットと基本機能を紹介します。
在庫管理にSAP製品が注目されている理由|在庫の「見える化」と「最適化」が可能
SAP製品は、在庫管理の効率化を支えるシステムとして注目されています。
在庫の「見える化」と「最適化」を支援する機能に優れ、拠点や部門をまたいだ連携や原価管理にも役立つからです。
在庫管理業務は、単に数量を把握するだけにとどまりません。
適切な量を維持できなければ、過剰在庫や欠品が発生しやすくなり、コスト増や機会損失、納期遅延などのリスクにつながります。
SAP製品は、在庫数量や在庫金額、入出庫や在庫移動の状況をリアルタイムで可視化し、部署や拠点をまたいだデータ連携にも有効です。
さらに、在庫と原価情報の連動により、戦略的な経営判断にも役立ちます。
このように、SAP製品は全社レベルでの情報共有と経営判断を支える基盤として、在庫管理の分野でも高く評価されています。
関連記事:SAPとは?SAP製品の特徴やERPシステムを導入するメリット・注意点を解説
SAP製品のMMモジュールの主な在庫管理機能
SAP製品のMM(Material Management)モジュールとは、在庫管理に役立つ機能群です。
ここでは、MMモジュールに含まれる以下3点の主な在庫管理機能を解説します。
- 入庫予定管理|保留在庫への反映や納期調整を支援
- 在庫移動管理|トランザクションで移動中在庫も把握
- 在庫分析|滞留在庫・不動在庫の傾向を分析し適正在庫の検討に活用可能
関連記事:SAPモジュールとは?主要なモジュールの機能と関連性を解説
関連記事:基幹システムとしてSAP製品を導入する意味は?5つのメリットを徹底解説
入庫予定管理|保留在庫への反映や納期調整を支援
入庫予定管理は、仕入や出荷、在庫移動などの将来的な入出庫予定を登録・管理できる機能です。
求められる品目を過不足なく適切なタイミングで確保するための計画精度が高まり、安定供給や業務効率化に役立ちます。
また、登録された予定のうち、すでに使用用途が決まっており、他の目的に使用できないものは「保留在庫」として在庫数量に反映される点も特徴です。
出庫処理や納期調整の事前準備にも柔軟に対応できます。
在庫移動管理|トランザクションコードで移動中在庫も把握
在庫移動管理は、出庫や入庫といった在庫の動きに加え、拠点間の移動中の在庫まで正確に把握できる機能です。
SAP製品では「トランザクションコード」と呼ばれる文字列を用いて、データ上で在庫移動や受発注登録などの処理を実施します。
これにより下記のような柔軟な管理が可能です。
- 1ステップ転送:出入庫を単一伝票で処理する方式
- 2ステップ転送:出入庫を別々に管理する方式
たとえば、輸送中の品は「移動中在庫」として記録されるため、在庫状況の管理精度が向上します。
リアルタイムで在庫の動きを把握することで、拠点間の受注・供給の調整や在庫最適化にも有効です。
在庫分析|滞留在庫・不動在庫の傾向を分析し適正在庫の検討に活用可能
在庫分析は、数量や金額といった指標をもとに在庫管理や最適化に役立てるための機能です。
SAP製品のMMモジュールでは、滞留在庫や不動在庫などの動きの少ない品目をレポートやグラフ形式で抽出できます。
滞留在庫とは一定期間動きがない在庫を指し、不動在庫はまったく出庫実績のない在庫です。
こうした在庫の傾向を把握することで、余剰在庫の圧縮を含む在庫管理全体の改善策につなげやすくなり、経営層の意思決定にも活用できるでしょう。
在庫管理にSAP製品を導入するメリット
在庫管理にSAP製品を導入するメリットとして、主に以下の2点が挙げられます。
- 正確な在庫管理によるコスト削減
- 部門間の在庫連携による業務スピード向上
正確な在庫管理によるコスト削減
SAP製品を活用した正確な在庫管理は、コスト削減に貢献できる仕組みです。
SAP製品を導入することで、在庫数と在庫金額をリアルタイムで可視化できるため、過剰在庫や不動在庫の早期発見と抑制が可能になります。
数量に加えて、金額単位での在庫把握により、経済的な影響を明確に捉えやすくなる点も特徴です。
さらに、標準原価を基準とした在庫管理にも対応しており、品目ごとの原価意識と仕入判断の精度向上にも役立ちます。
このように、SAP製品は在庫状況を見える化することで、在庫管理におけるコストを減らす手段といえます。
部門間の在庫連携による業務スピード向上
在庫管理にSAP製品を導入することで、部門や拠点をまたいだ在庫の一元管理が実現し、社内での在庫情報の分断が解消される点もメリットです。
最新の在庫状況をリアルタイムで共有できるため、確認・入力作業や情報伝達におけるヒューマンエラーなどが減り、業務のムダを削減できます。
とくに、出荷判断や補充依頼といった現場のアクションが迅速化され、出荷までにかかる時間の短縮が期待できるでしょう。
全社的な業務スピードの底上げにつながり、タイムリーな対応力や供給体制を支える基盤として有効です。
在庫管理にSAP製品を導入した事例
ここでは、在庫管理にSAP製品を導入して成果を上げた事例を2つ紹介します。
- オプテックス株式会社|拠点を超えた在庫一元管理で現場負荷を軽減
- 赤城乳業株式会社|不動在庫の把握による現実的なリスク判断を実現
オプテックス株式会社|拠点を超えた在庫一元管理で現場負荷を軽減
オプテックス株式会社では、国内外に拠点が増加するなか、在庫管理が拠点ごとの個別対応になっていたため、全体の在庫状況を即座に把握しにくい点が問題でした。
こうした状況を改善するためにSAP製品を導入した結果、拠点間で在庫データをリアルタイムで共有・可視化できるようになり、分断されていた情報の一元管理を実現しています。
これにより、現場の在庫割り当てにともなう確認・調整作業の負担が大幅に軽減され、現場業務の効率も高まりました。
具体的には、業務担当者1人あたりの売上高が35%向上したほか、5名分の人員効率化にも成功しています。
また、迅速な意思決定を行えるようになったことで、全社的な業務改革の加速にもつながっています。
赤城乳業株式会社|不動在庫の把握による現実的なリスク判断を実現
赤城乳業株式会社では、季節変動の大きいアイスクリーム事業において、春先からの在庫備蓄が不可欠な一方で、需要予測の誤差による売れ残りや在庫ロスの懸念を抱えていました。
SAP製品導入以前は、在庫管理を表計算ソフトで行い、原価算出も年1回の手作業に頼るなど、データ活用が限定的だったことが問題です。
また、システム連携も月1回にとどまっていたため、改善やタイムリーな改善や投資判断が困難な状況となっていました。
SAP製品導入後は、月次での原価把握とリアルタイムな在庫状況の可視化が実現し、原価と売価の両面から備蓄判断を行える体制へと移行しています。
その結果、不動在庫の把握による在庫戦略の精度が高まり、経営リスクの現実的な評価と判断が可能になりました。
SAP製品は在庫管理の精度とスピードを両立するシステム
SAP製品を在庫管理に導入すると、リアルタイムで在庫数や在庫金額の把握が可能になります。
その結果、過剰在庫や不動在庫が発生した場合にも速やかに対応しやすくなる点は大きな魅力です。
また、部門や拠点を超えた在庫情報の一元管理が実現し、情報連携ミスやロスタイム削減にも効果を発揮します。
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