DX
DX市場規模が拡大する理由とは?国内外の動向を踏まえて解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)市場規模は、国内外ともに拡大傾向にあり、今後も伸び続けることが予想されます。
本記事では、DX市場規模の動向と拡大している理由、成長にともない企業が抱える課題を紹介します。
日本のDX市場規模:2030年度には9兆2,666億円まで拡大予測
日本では各業界でDX関連投資が拡大しており、市場規模は年々成長しています。
株式会社富士キメラ総研の調査によると、2024年度の国内DX関連投資額は5兆2,759億円に達する見込みで、2030年度には9兆2,666億円まで拡大する予測です。
とくに市場を牽引している分野は、製造業や金融業であり、なかでも製造業は2023年度と比べて22.2%増と大幅な伸びが見込まれています。
また、デジタル化が遅れる傾向にあった交通・運輸・物流もDX導入が活発化している分野です。
ドライバー不足が深刻化する「2024年問題」や物流倉庫の効率化を契機にDX投資が加速し、2024年度の投資額は前年比10.2%増が見込まれました。
小売業や外食業でも伸びが見られ、日本のDX市場は今後も成長が続くと考えられます。
参考:プレスリリース:「2025 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編」|株式会社富士キメラ総研
世界のDX市場規模:2030年には4兆4,000億米ドルまで拡大する見通し
世界市場においても、DXの導入は加速しています。
Mordor Intelligence社発行の市場調査レポートによると、世界のDX市場規模は2025年の段階で1兆6,700億米ドルと推定され、2030年には4兆4,000億米ドルまで拡大する見通しです。
日本と同様に、製造業はDX市場規模の伸びを後押しする分野のひとつであり、スマートファクトリー化に向けて多くの現場で自動化やロボット化が進んでいます。
また、IoT技術の利用が増えている点も、世界のDX市場規模の拡大を加速する要因のひとつです。
製造業のほか、医療関係でもIoTが採用されるケースが増えており、市場の拡大を促進しています。
地域別に見ると、とくに中国を筆頭としたアジア太平洋圏の急成長が注目されている点も大きな特徴です。
参考:DX-市場シェア分析、業界動向・統計、成長予測(2025年~2030年)|Mordor Intelligence社
DX市場規模が拡大している主な理由
日本におけるDX市場規模が拡大している主な理由は以下の3つです。
- 生産性向上が求められているため
- スマートファクトリー化など業界ごとのDXが加速しているため
- 多様な働き方への対応が加速しているため
本項では、それぞれの理由をわかりやすく解説します。
生産性向上が求められているため
少子高齢化により人手不足が深刻化するなか、企業では限られた人員で安定的に業務を進める体制構築が喫緊の課題です。
そこでDXは、生産性向上に向けた取り組みとして注目されています。
ビジネス環境の高度化・複雑化が進む昨今、企業が生産性を高めるにはITシステムやAIの活用が欠かせません。
DXによるデジタル化は作業効率の向上に加え、データ活用を通じた迅速な意思決定や社内コミュニケーションの円滑化にも効果的です。
こうした技術導入の広がりが、生産性向上を目指す企業のDX推進を後押しし、市場の成長に拍車をかけると考えられます。
関連記事:DXが生産性向上に有効な理由とは?
スマートファクトリー化など業界ごとのDXが加速しているため
各業界でDXの導入が進んでいる点も、市場全体の拡大を後押しする要因です。
たとえば製造業では、生産性向上や人手不足への対応を目的に、工場にデジタル技術を導入する「スマートファクトリー化」が加速しています。
また「2024年問題」への対応が求められる物流業では、物流倉庫の運用効率化を目的としたDX投資が活発です。
労働力の確保が課題となっている飲食・小売業界においても、発注・決済業務などの現場業務の作業負担軽減に向けた取り組みが広がっています。
DXは、変化するビジネス環境に対応する手段として業界を問わず定着しつつあり、市場は今後さらに拡大していくでしょう。
多様な働き方への対応が加速しているため
少子高齢化や社会情勢の変化などを背景に、多様な働き方への対応が加速している点も、DX市場規模が拡大する理由のひとつです。
たとえば、新型コロナウイルス感染症の流行を機に浸透したテレワークも、働き方改革の一例といえます。
しかし、推進にあたっては、紙ベース業務や対面前提の業務フローが大きな障壁となり、DXの遅れが顕在化しました。
こうした課題を受けて、デジタル技術を取り入れる企業が増加しています。
また、ワークライフバランスを重視する人が増えたことで、職場以外の場所で作業できる柔軟な就労環境が求められるようになりました。
働き方の選択肢を広げるには、デジタル活用を促進するDX推進が欠かせません。
働き方や就労環境の整備を進めるうえでもDXは重要な取り組みであり、市場拡大に影響しています。
DX市場規模拡大にともない企業が抱える主な課題
DXの市場規模が拡大する一方で、企業側では次のような課題が顕在化しています。
- DX人材の不足
- 業界・企業規模によるDX対応の格差
それぞれの課題について解説します。
DX人材の不足
DXの市場拡大に伴い、DX推進を担う人材へのニーズが急速に高まっています。
しかし、必要とされるスキルを持つ人材は限られており、多くの企業が確保に課題を抱えている状況です。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2024」によると、2021年度にDX人材が「大幅に不足している」と答えた企業は30.6%でした。
以降、2022年度が49.6%、2023年度には62.1%と増加傾向にあり、DXに対応できる人材の不足が顕著になっている状況です。
DX人材が不足している企業では、取り組みが遅れるだけでなく、実行段階に進めないケースも少なくありません。
市場競争力を維持するためにも、DX人材の育成やリスキリングが求められます。
参考:DX動向2024|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
業界・企業規模によるDX対応の格差
DX市場が拡大するなかで、業界・企業規模による取り組みの進度に格差が生じている点も大きな課題のひとつです。
製造や金融、物流業界ではDX導入が進行している一方、不動産・建設、医療・介護などの分野では依然として浸透が遅れています。
また、資本力のある大企業に対し、中小企業では資金だけでなく、人材や情報の不足からDX推進の体制が思うように整わないケースも少なくありません。
経済産業省では「DX認定制度」を設け、DXに積極的に取り組む企業を評価する仕組みを整えています。
さらに「IT導入補助金」をはじめとする各種補助金制度も、中小企業を中心とした取り組みを支える施策といえるでしょう。
こうした支援策の広がりにより、業界や企業の大きさを問わずDXが進めば、国内DX市場規模のさらなる成長が期待されます。
DX市場規模拡大に遅れないようにしよう
DX市場規模は国内外を問わず拡大し続けていますが、一方で、DX人材の不足や業界・企業規模によるDX対応の格差といった課題も浮き彫りになっています。
変化し続ける市場に乗り遅れないためにも、着実にDXを推進していくことが重要です。
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