DX
サイロ化とは?原因や解消した事例をわかりやすく解説

企業が生産性・競争力の向上を図るには、部門やシステムを横断したスムーズな情報連携が重要となります。
しかし実際には、情報管理の手法や使用するツールが分断された「サイロ化」と呼ばれる状態に陥っているケースも少なくありません。
当記事では、サイロ化の概要・原因から、DXへの影響、事例をもとにした解消方法までわかりやすく解説します。
サイロ化とは|部署間で情報が分断され連携できない状態
ビジネス・DX用語としての「サイロ化」とは、総務省用語集では以下のように解説されています。
“各部署で使っているアプリケーションやシステムが他の部署のシステムと互換性がない形で孤立し、情報連携がうまくいっていない状況のこと”
サイロ化は、家畜の飼料貯蔵塔(サイロ)が、連携せず独立して建てられている状態に例えたのが語源です。
組織がサイロ化すると、情報の蓄積・収集・利活用がうまくいかず、情報共有や作業にも無駄が生じます。
そのため、サイロ化はDX推進の妨げになるともいわれています。
サイロ化が起こる原因| データ連携がしにくい組織構造
実際にサイロ化の課題を抱えている企業の事例からは、以下のような原因が見られます。
- データが業務・部門・システムごとに収集・利用されており連携できない
- 明確なルールを定めずデータを蓄積してきたため形式が統一されていない
- 部署内の人間ですらデータの全体像を把握していない
サイロ化が起こる原因はさまざまですが、その背景には、長期間積み重ねてきたシステム・データ管理方法による組織構造的な問題が見られます。
また、DXの大きな阻害要因とされている「技術面の老朽化」「システムの肥大化・複雑化」「ブラックボックス化」といったレガシーシステム問題も、サイロ化の原因と深く関係しているといえるでしょう。
サイロ化がもたらす問題とDXへの影響
サイロ化はさまざまな問題をもたらし、DXの推進にも影響を及ぼします。
- 従業員のデジタル体験が妨げられる
- セキュリティの弱体化を招く
- 部門間のコラボレーションが生まれない
詳細を以下に解説します。
従業員のデジタル体験が妨げられる
従業員が業務で使うデジタル技術の利便性は、企業の生産性・競争力を大きく左右する重要な要素です。
しかし、サイロ化が生じると、従業員のデジタル体験を著しく阻害します。
システムが分断しておりデジタル技術が使いづらい状況とは、たとえば以下のようなケースです。
- 情報を探す際に複数のシステムを使い分ける必要がある
- 複数のツールの操作を覚える必要がある
- システムごとに都度ログインが必要となる
このような状況では業務効率や生産性も低下しかねません。
各従業員が快適に業務に取り組むためには、サイロ化を解消してデジタル環境を整備することが重要です。
セキュリティの弱体化を招く
サイロ化は、セキュリティの弱体化を招く大きな要因にもなりかねません。
データが別々に管理されると情報に不一致やギャップが生じ、適切な対応が難しくなるためです。
Ivanti社の「2025年サイバーセキュリティ ステータスレポート」によると、回答企業の58%がデータのサイロ化を実感しており、62%がセキュリティ対応が遅れていると回答、53%がセキュリティ体制が弱体化していると回答しています。
サイロ化によるセキュリティリスクはDXの阻害要因ともなるため、全社的な情報統合と部門連携の強化が必要です。
参考記事:2025年サイバーセキュリティ ステータスレポート|Ivanti
部門間のコラボレーションが生まれない
サイロ化は部署ごとにデータが分断されており情報が共有されないため、コラボレーションが生まれない要因となります。
特に企業規模が大きくなるほどデータが社内に散在し、部署ごとに管理方法も異なるため、横断的な連携が難しくなる傾向にあります。
サイロ化を解消せずにDXを進めても、形だけの変革になりがちであるため、まずはデータを共有できる環境作りが必要です。
たとえば、日産自動車株式会社では、業務横断・組織横断型のデータ活用基盤を構築しサイロ化を解消しています。
参考記事:DXの阻害要因である「データのサイロ化」を克服した日産自動車のアプローチ|日経クロステック Active
効果的な施策でサイロ化を解消した事例
実際にサイロ化を解消した企業の事例をもとに、サイロ化に対応する方法について詳しく見ていきます。
- 組織改革に取り組んだ事例
- 既存システムを刷新した事例
組織改革に取り組んだ事例
株式会社ぐるなびは、データのサイロ化により、部署間でスムーズに連携できないという課題を抱えていました。
解決策として、全社的にデータアクセス管理に関するルールを刷新したり、連携しやすいチームへと再編したりすることで、組織改革を進めています。
当事例では、データ利活用の基盤を整えるには、組織体制の見直しが有効であると示しています。
参考記事:ぐるなびが語る、サイロ化しない「データの民主化」|ZDNET
既存システムを刷新した事例
株式会社オプテージでは、長年の運用によってシステム基盤がサイロ化し、運用管理に多くのリソースを割かれていました。
そこで、改善策として既存システムの刷新に踏み切ります。
- VMware Cloud Foundationを導入し、サイロ化した基盤を統合・標準化
- SDDC Managerの活用により、基盤のバージョンアップ作業を自動化
システム基盤の統合や自動化により運用工数を削減し、若手のリソース解放にもつながる見通しが期待されています。
以上は、IT基盤の見直しがサイロ化の解消ならびにDX推進に直結することを示した事例です。
参考記事:ビジネスを成功に導く―VMwareのソリューション導入事例|TECH+
DX推進にもサイロ化の解消が欠かせない
サイロ化は、企業内でデータや情報が孤立し、生産性やセキュリティの低下にもつながります。
DX推進の大きな障壁にもなるため、組織改革やシステム基盤の刷新に取り組み、実用的なデータ基盤を構築することが重要です。
ノムラシステムでは、企業の現状に寄り添ったコンサルティングにより、DXの推進と課題解決を積極的に支援しています。
サイロ化がDX推進の障壁となっている企業担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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