DX業務効率化

会計DXとは?経理の効率化で終わらせず経営に効く会計に変える進め方

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会計DXとは?経理の効率化で終わらせず経営に効く会計に変える進め方

会計DXとは、経理業務を電子化するだけでなく、会計データを経営判断に使える形へ整える経営基盤の見直しです。

クラウド会計や経費精算システムを導入したのに決算が早くならない、Excel集計が残って経営数字がそろわない。こうした行き詰まりの多くは、効率化が経理業務で止まり、データを経営に活かせていないことが原因です。

本記事では、基幹会計(ERP)の導入現場の視点から、会計DXの全体像と進め方を整理します。

会計DXは経理の電子化ではなく経営基盤の変革である

会計DXを理解する出発点は、「電子化」と「DX」を分けて考えることです。電子化は作業の置き換えであり、会計DXは会計データの流れそのものを変える取り組みです。紙をPDFにしたり、Excelをクラウド会計ソフトに移したりするのは電子化であり、DXの入り口にすぎません。

観点デジタイゼーション(電子化)会計DX(変革)
目的紙・手作業のデジタル化経営判断に使えるデータ基盤づくり
範囲個別業務の置き換え業務プロセス・データ連携・経営管理
成果入力・保管の手間削減決算早期化・予実管理・採算分析

参考記事:DXは3段階のフェーズがある! 各ステップの戦略と事例を解説

なぜ今、会計DXが求められているのか

会計DXが求められる背景には、制度対応だけでなく、経営判断のスピードを高める必要性があります。

  • 2025年の崖
  • 電子帳簿保存法・インボイス制度
  • 経理人材の不足

2025年の崖は、老朽システムの放置が保守コスト増やデータ活用の停滞を招くという指摘です。電子帳簿保存法やインボイス制度への対応では、紙を前提とした業務フローの見直しが避けられません。経理人材の不足は、少人数で増える業務をさばくための自動化を後押しします。

制度対応は入り口にすぎません。月次決算が遅れれば経営判断も遅れ、部門別の採算が見えなければ改善は後手に回ります。会計データの分断は、予実管理や連結のたびに集計の手間を生みます。

参考記事:経産省DXレポートの「2025年の崖」とは?問題点や対策をわかりやすく解説

部分最適のSaaSツールでできること

会計DXを実現する仕組みは、特定業務に強い「SaaSツール」と、全社の基幹を支える「ERP」に分かれます。SaaSとは、クラウドで提供され、必要な業務だけを選んで使えるソフトウェアです。

SaaSツールは個別業務の効率化に向きます。クラウド会計ソフト、経費精算システム、請求書受領・発行システム、AI-OCRやRPAが代表例です。導入が軽く短期間で効果が見えやすい一方、ツールが増えるとシステム間のデータ連携が新たな課題になります。

全体最適のERP(SAP等の基幹会計)でできること

ERP(統合基幹業務システム)は、会計・販売・購買・在庫などのデータを一つの基盤に統合する仕組みです。SAPに代表される基幹会計では、取引の発生時点で会計に反映され、月次・四半期・連結まで全社の数字を把握できます。

当社が手がけるBPC(連結会計・経営計画を担う仕組み)は、グループ各社の数字を集約し、予算と実績を突き合わせて経営判断を支えます。ERPは個別業務の効率化にとどまらず、全社データの統合と経営管理の高度化に踏み込めるのが特長です。

参考記事:SAPの会計モジュールで業務効率化とデータ一元管理を実現!モジュールの機能と活用法も紹介

SaaSとERPはどちらを選ぶか

SaaSとERPは、どちらが優れているかで選ぶものではありません。短期的に経費精算や請求書処理を軽くしたいのか、全社の会計データを統合して経営管理を高度化したいのかによって、選ぶべき仕組みは変わります。

仕組み強みのある領域適したケース
SaaS個別業務の効率化単一拠点・国内中心で、特定業務の負担をまず軽くしたい
ERP全社データの統合・経営管理複数拠点やグループ会社で、連結や経営管理を一元化したい

まずSaaSで個別業務の効率化を進め、事業の拡大や連結の必要性に応じてERPで全体最適を検討する、という段階的な組み合わせも有効です。大切なのは製品比較ではなく、解きたい経営課題から逆算して選ぶことです。

参考記事:ERPとは?システムの選び方から導入の流れ、ERP成功事例も紹介

会計DXで変わること|定型業務の自動化と経営判断の高速化

会計DXの変化は、「守りのDX」と「攻めのDX」の2方向に整理できます。

区分内容
守りのDX請求・経費精算・入金消込・仕訳などの定型業務を減らし、正確なデータを早くそろえる
攻めのDXそろったデータを予実管理・連結会計・採算分析に活かし、経営判断の質とスピードを高める

この2つは順番でつながっています。請求や仕訳、決算で整えたデータを、予実管理や採算分析に使うことで、はじめて経営に効果が及びます。

価値は経理部門だけにとどまりません。正確な数字が早くそろえば、経営企画は予算の精度を上げられ、事業部門は採算を見ながら判断でき、経営層は意思決定を早められます。

効率化しやすい会計業務と優先順位の付け方

会計DXは、すべてを一度に変える必要はありません。効果が出やすい業務から着手するのが定石です。自動化の効果が大きいのは、反復が多く、ルールを整えやすい業務です。

業務効率化しやすい理由
経費精算申請・承認・仕訳のルールを整えやすく、効果が見えやすい
請求書処理受領・確認・支払までの流れが定型化しやすい
入金消込取引先や請求情報との照合ルールを整えれば自動化しやすい
仕訳・帳簿付け明細連携とルール設定で手入力を減らせる
決算・予実管理データの集約と手順の標準化で締めやレポート作成を短縮できる

着手の優先順位は、次の3つの観点で判断します。

  • 工数の大きさ
  • ルールの明確さ
  • 影響範囲の狭さ

例外処理が多い業務を先に自動化すると、システム側の調整が増え、現場への定着も進みません。そうした業務は、自動化の前に業務ルールを整理する段階から入るのが現実的です。

会計DXがつまずく理由|現場で起きる失敗パターンと対策

会計DXは、進め方を誤ると「ツールは入れたのに変わらない」状態に陥ります。現場で繰り返し見られる3つの失敗パターンを押さえておきます。

ツール先行で業務が変わらず属人化が温存される

ツールの導入が先行すると、紙やExcelの承認ルート、勘定科目のルール、部門ごとの入力ルールが整理されないまま、そのままシステムに移し替えられます。結果として、業務フローは昔のまま、担当者しか分からない手順がツールの中に残ります。

対策は、ツール選定の前に「どの業務を、どう変えるのか」を決め、業務プロセスの見直しとセットで進めることです。

経理部門だけで進めて全社に広がらない

会計DXは、経理部門だけで完結する取り組みではありません。会計データの入口は全社にあります。購買・販売・在庫・現場部門から入るデータが整わなければ、経理側で修正作業が残り続けます。

受発注から請求、入金、報告までを一連の流れで捉え、関係部署を巻き込む設計と、経営層の旗振りが欠かせません。

ベンダー任せで社内にノウハウが残らない

ベンダーに任せきりにすると、稼働後の改善を社内で進められなくなります。たとえば、勘定科目や承認フロー、レポート項目を変更したいときに、社内で判断できず、そのたびに外部依存が発生します。

当社が現場で重視しているのは、導入しながら自社の担当者に運用ノウハウを引き継ぎ、内製で回せる状態に近づけることです。ツールを使いこなす段階まで伴走できるかどうかで、会計DXの定着度は変わります。

会計DXの進め方|導入して終わりにしない4ステップ

会計DXは、4つのステップで段階的に進めると失敗が少なくなります。各ステップを会計業務の具体策に落とし込むことが、成果につながります。

ステップ1:現状業務の可視化と課題の特定

最初にやるべきは、ツール選びではなく現状の棚卸しです。請求、経費精算、仕訳、決算、予実管理といった会計業務ごとに、工数・手戻り・属人化がどこで起きているかを洗い出します。あわせて、承認ルート、入力ルール、勘定科目、部門別の締め処理、レポート作成手順まで確認すると、ムダや重複が見えてきます。

ステップ2:目的とKPIの設定

「何のために行うのか」という目的と、それを測るKPIを分けて整理します。目的は、決算を早める、経費精算の手戻りを減らす、予実レポートを早く出す、といった業務・経営上のゴールです。KPIは、月次決算日数、差戻し件数、レポート作成時間、入金消込の自動化率など、目的の達成度を測る指標です。KPIを先に決めておくことで、「導入したが成果が分からない」という事態を防げます。

ステップ3:業務プロセスの標準化(Fit to Standard)

自動化の前に、業務ルールをそろえる工程です。Fit to Standardとは、システムの標準機能に合わせて業務を見直す考え方を指します。これは現場のやり方を無理に押さえつけることではありません。標準化できる部分は標準に寄せ、自社の競争力として残すべき独自性は残す、という見極めが要点です。会計DXでは、勘定科目、承認フロー、締め処理、レポート形式などが標準化の対象になります。

ステップ4:スモールスタートと定着化

最初から全社・全業務に広げず、効果が出やすい一部署・一業務から始めます。小さく試して成果を確かめ、現場の声を反映しながら横展開します。導入後は、次の点を定期的に確認します。

  • KPIが改善しているか
  • 現場で使われていない機能がないか
  • 例外処理が増えていないか
  • レポートが経営判断に使われているか

こうした確認を続けることで、会計DXは「使い続けて育てる」仕組みになります。

参考記事:DXの推進とは? 取り組みのステップを解説

会計業務を整理し、優先度の高い業務を見極める

会計DXの本質は、経理業務の電子化ではなく、経営判断に活かせる会計データ基盤への変革です。請求や仕訳、決算で整えた正確なデータを、予実管理や採算分析に活かすことで、会社全体の判断スピードが上がります。着手するなら、効果が大きく自動化しやすい業務から、業務プロセスの標準化とセットで段階的に進めるのが近道です。

会計DXは、どのツールを選ぶかよりも、どの業務を変え、どの数字を経営判断に活かすかを整理することから始まります。株式会社ノムラシステムコーポレーションでは、SAPをはじめとする基幹会計の導入や、経理業務・経営管理の見直しを、現場に入り込みながら支援しています。自社ではどこから着手すべきか分からない場合は、ぜひ一度ご相談ください。

会計業務をDX化する際によくある質問

Q. 会計DXとデジタル化(IT化)は何が違いますか?

A. デジタル化は紙やExcelの作業をツールに置き換える「電子化」です。会計DXは、そのデータを連携・自動化し、決算の早期化や経営判断に活かすところまで踏み込みます。電子化は会計DXの入り口にあたります。

Q. 会計DXは何から始めればよいですか?

A. 現状業務の可視化から始めます。会計業務ごとに工数・手戻り・属人化を洗い出し、効果が大きく小さく試せる業務から着手すると、無理なく広げられます。

Q. 中小企業でも会計DXは必要ですか?

A. 必要です。人員が限られる企業ほど、定型業務の自動化による効果は大きくなります。まずは導入しやすい領域から始め、事業の拡大に合わせて全体最適を検討するとよいでしょう。

Q. 会計DXにERP(SAPなど)は必須ですか?

A. 必須ではありません。特定業務の効率化が目的ならSaaSツールで足りる場合もあります。一方、全社の会計データを統合し、連結や経営管理を高度化したい場合はERPが向いています。解きたい経営課題に応じて使い分けます。

東京MXの番組で、ノムラシステムコーポレーションが取り上げられました。詳しい内容を知りたい方は、ぜひ下記のYouTube動画をご覧ください。

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