コンサルタント記事

正しい数字を届け続ける。設計・更新・切り替えから見るBIレポート保守

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正しい数字を届け続ける。設計・更新・切り替えから見るBIレポート保守

話者:大島 唯人
所属:ノムラシステムコーポレーション PMOコンサルティング事業部 BIチーム

「DXの現場」では、ノムラシステムコーポレーションの現役コンサルタントが、実際のプロジェクト経験をもとに、DXの現場で求められる考え方や仕事の進め方をお伝えします。

今回のテーマは、「正しい数字を届け続けるためのBIレポート保守」です。

私はPMOコンサルティング事業部のBIチームに所属し、SAPを使った経営分析レポートの保守や改善に携わっています。

BIレポートでは、受注状況や固定費、予算、実績など、業務や経営に必要な数字をまとめて確認できます。ただし、レポートは完成すれば終わりではありません。本記事では、レポートの正確性を守るために行っている設計、更新、確認の考え方をお伝えします。

BIレポートの保守は、正しい数字を出し続ける仕事

私は、すでにレポートが稼働している保守の段階から現在の案件に参画しました。お客様の要望に応じて出力されるデータ項目を追加したり、既存レポートを見やすくしています。

経理の担当者が複数のレポートから必要な数字を集め、まとめる作業には3〜4日ほどかかります。そういった業務をBIを活用して効率化しています。BIレポートひとつで受注状況や固定費を確認できるようになり、作業時間も体感で1〜2日ほどに短縮できます。

BIレポートの運用保守では、新たな要望に対応するだけでなく、同じ条件で実行したときに、常に正しい数字が出る状態を維持することも重要です。既存の数字を崩さずに改善を重ねることが、保守には求められます。

そのため、レポートを改善するときは、現在の要望に応えるだけでなく、将来の変更にも対応できる設計を考えます。

将来の変更を見越し、レポートを設計する

レポートを改善するときは、表示する項目を最初から確定させすぎないようにしています。初期の設計段階では不要なものも、今後必要になる可能性がある項目は非表示にしておくことがあります。

BIツールには、「自由特性」と呼ばれる仕組みがあり、レポートの初期画面には表示せず、必要になったときに追加して確認できます。非表示にしておくことで通常のレポートを見やすく保ちながら、状況に応じて確認項目を増やせます。

どの項目を通常表示し、どの項目を自由特性に置くのかをお客様とすり合わせ、現在の見やすさと将来の変更への対応を両立させます。このように設計上の余地を残したうえで、日々の運用ではデータを正しい手順で更新していきます。

データの更新手順を守り、二重計上を防ぐ

実績データを扱う際は、データを更新するタイミングと順番に注意しています。

すでに登録されている実績を残したまま修正後のデータを取り込むと、数字が二重に計上される可能性があります。そのため、新しいデータを流す前に、更新対象となる古いデータを削除します。

定期更新は、毎月決まった日に処理されますが、過去の実績に修正が入った場合は、お客様に更新のタイミングを確認したうえで反映させています。

一つひとつの作業自体は複雑ではありませんが、手順や順番を誤ると出力結果が変わります。こうした日々の更新に加えて、新たな項目を追加する際にも、既存の数字を崩さないための確認が必要です。

データの取得元と紐づけを確認する

レポートにデータを一つ追加する場合は、裏側ではデータの取得元を調べる必要があります。追加したい項目が、現在のレポートで使っているテーブルに含まれているとは限らないためです。

別のテーブルから取得する場合は、二つのテーブルに共通する項目を探し、データ同士を正しく紐づける必要があります。この紐付けを誤ってしまうと、データが重複して反映されて、正確な数値がわからずレポートの意味がなくなります。

画面に表示される一つひとつの数字は、複数のデータや計算によって成り立っています。ただし、データを技術的に正しく取得できたからといって、それだけでお客様にとって正しいレポートになるとは限りません。

出力条件をそろえ、お客様と数字の正しさを確認する

システム上の計算が合っていても、お客様が想定している対象期間や抽出条件と異なれば、お客様の課題解決にはなりません。そのため、数字を確認していただく際は、対象期間や抽出条件もあわせて伝えて、認識の齟齬がでないようにしています。

例えば、新しい項目を作る際には、既存レポートの計算式を流用することもあります。

特に年度や月をまたぐ集計では、指定した月からの期間によって結果が変わります。実際の出力例を見せながら、どの範囲の合計なのかを確認し、認識をそろえてから反映します。

数字そのものだけでなく、その数字がどのような前提で算出されたのかまで共有することが、手戻りや認識のずれを防ぎます。こうして確認した数字は、システムの環境が変わる場合にも維持しなければなりません。

新旧環境を比較し、切り替え後も正しさを守る

現在の案件では、BI製品のバージョンアップに伴う本番環境の切り替えを予定しています。今回、BI側の設定に大きな変更はありませんが、元データを管理するERP側の変更が、レポートの出力に影響する可能性があります。

バージョンアップ前後の確認では、旧環境と新環境で同じ条件のレポートを実行し、二つの出力を並べて比較します。

基盤の切り替え自体は別の担当チームが担いますが、BIチームも連携して対応します。ERP側の変更がレポートに影響している場合には、原因の調査しています。

BI側に直接の変更がなくても、元データや連携の仕組みが変われば、レポートの出力結果が変わる可能性があります。そのため、自分たちの担当領域だけを確認して終わらせず、関連するチームと連携しながら、切り替え後も正しい数字が出ていることを確かめます。

会計知識を生かし、数字のずれの原因を特定する

環境の切り替え時に限らず、レポートの数字にずれやエラーが見つかった場合は、データの取得元や出力までの処理を遡り、原因を調べます。その際、BIの専門知識だけでなく、数字の背景にある業務知識が必要です。

BIレポートに表示される数字を遡ると、会計をはじめとする基幹業務のデータにたどり着きます。

レポートの数字などにエラーがあったときは、どのデータを参照し、どのような出力になっているのかを確認する必要があります。FIやCOの知識があるからこそ、エラーの原因を特定しやすくなったと感じています。

BIレポートでは、小さな思い込みや確認漏れが数字のずれにつながります。データ更新の順番を守る、取得元をたどる、出力条件を共有する、新旧環境を比較する。こうした確認を一つずつ重ねることが、正しい数字を届け続けることにつながると考えています。

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