コンサルタント記事
ITコンサルは“技術だけ”じゃない。支援に入り、感じたDXが失敗する本当の理由
- 話者:川地克朗
- PMOコンサルティング事業部
「DXの現場」では、ノムラシステムコーポレーションのコンサルタントが、実際のプロジェクト経験をもとに、DXの現場で求められる考え方や仕事の進め方についてお伝えします。
今回のテーマは「ITコンサルは“技術だけ”じゃない。支援に入り、感じたDXが失敗する本当の理由」です。
SAP導入プロジェクトのPMOとして支援に携わる中で、DXが思うように進まない現場にはいくつかの共通点があると感じています。システムや技術だけでは解決できない課題が多く、現場との関わり方やプロジェクトの進め方が成果を大きく左右します。単なる支援にとどまらず、現場に入り込みながら課題を捉え、前に進めていくことの重要性を日々実感しています。
本記事では、実際のプロジェクト経験をもとに、DXがうまくいかない要因と、コンサルタントとしてどのように向き合うべきかについてご紹介します。
ノムラシステムとの出会いが、コンサルタントとしての原点になった
幼いころからモノの仕組みに自然と興味があったのですが、学生時代に様々な業界と交流し仕事を任せてもらう経験を通して、「問題をどう解決するか」を考えることが自分に合っている、と感じるようになりました。
就職を考えた際には、スポット的な問題解決ではなく、より広く社会に影響を与えられる仕事がしたいと思いITコンサルを志望しました。パソコンは得意ではありませんでしたが、「今日では不可欠となっているITに関わるものでなくてはならない」と考えたことも理由の一つです。
また、社長の「胸を張って生きなさい」という言葉にも惹かれ、「ここなら自分らしく働けそうだ」と感じました。直感的に「これは運命だ」と感じ、気が付いたら入社していました。
SAP導入プロジェクトのPMOとして、現場に入り込んだ支援

現在は、PMOコンサルティング事業部のPMOチームの一員としてSAP導入プロジェクトの支援を行っています。私の主な業務は、プロジェクトマネジメントの支援です。具体的には、クライアント側のプロジェクトメンバーが通常業務との兼務でリソースが逼迫していたため、私たちで巻き取れる業務を掘り起こし、切り分けを行った上でタスクを引き受けています。
お客様の現場に入り込んで支援を行うプロジェクトもあります。単に事務支援をこなすだけでなく、「現場はどうなっていますか?」と積極的に声をかけながらプロジェクトを推進することが重要な役割です。
これは、現場にいるのに黙っていることは、コンサルタントとして存在していないのと同じだと考えているためです。
一方で、お客様と対面でやり取りする現場は今回が初めてということもあり、意見が分かれた際にはつい波風を立てまいと、お客様の意見に寄せて、落としどころを探してしまうこともあります。
「コンサルとしてお客様を導く」という自分の理想と矛盾しているなと、後から気づいて苦悩することもあるのが正直なところです。
クライアントは非常に忙しいため、会議室で改めてヒアリングをするよりも、廊下に出たタイミングなどを見計らって話しかけるなど現場にいるからこそできる対応を心がけています。そうした隙間の時間を使った方が、現場のリアルな本音を引き出せるためです。
DXがうまくいかない現場にある、共通する“つまずき方”
現場を見てきた中で、DXがうまくいかない現場には、少なくとも2つの「つまずき方」があると感じています。
1つ目は「マインドセットの欠如」です。特にSAPなどのパッケージソフトを導入する場合、クライアントの業務をシステム側に合わせる「FittoStandard」の考え方が欠かせません。「少し苦しくてもシステムに合わせる」という意識を、経営層から現場メンバーまでの全員が共通認識として持っていないと、プロジェクト進行は苦しいものになります。
そして2つ目が「社内の風通し」です。社内での意思疎通が円滑でないと、それに引っ張られる形でステークホルダーともうまくコミュニケーションが取れず、ボタンの掛け違いが起き、それが積み重なって進行上の障害となる傾向があります。システム導入前の下地作りとして、マインドチェンジの段階から一緒に入っていけるのがベストなのだと実感しています。
DXの失敗原因である「マインドセットの欠如」と「社内の風通し」を解消するためにも、企業体質のマインドチェンジから伴走し、組織全体を導く「ゴールを示す力」こそが、コンサルタントの存在意義なのだと感じています。
技術だけでは前に進まない。コンサルタントに必要な「ゴールを示す力」

「ITコンサル」というと、「ITに関する知識や技術のある人」というイメージを持たれがちですが、私の考えるITコンサルは「課題解決に導く力がある人」です。私よりもシステムやITの知識が豊富な方はたくさんいますし、私自身も知識を深めていかなければいけないと日々痛感して知識習得に邁進しています。
クライアントは「今が大変だ」と漠然と感じていても、現状と将来像の間にどんな「ギャップ」があるのか、気づいていないことが多いです。だからこそ、まずは「どうなれば良くなるか?」というTo-Be像を適切に描き、そこに向かうためのギャップを探す必要があります。
現状とのギャップを探し出し、それをどう埋めるかの地ならしをして、手を携えて共に走り切ることが、コンサルタントの本質的な役割だと考えています。
SAPとPMO両方を深めながら、伴走できるコンサルタントを目指したい
将来のキャリア像について、正直なところまだ明確には定まっていません。ただ、クライアントの実業務を背景としたSAPの知識深化とPMOとしての実業務を行き来しながらそれぞれを積み重ね、お客様に伴走できるコンサルタントを目指しています。
現在はPMOとして支援に入っていますが、次やその次の案件では、もう一度SAPに深く携わり、一つひとつの機能の深掘りだけではなくクライアントの実業務についての知見を深めていきたいと考えています。
そして、SAPとクライアントの実業務への理解を深めた上で、再びPMOの立場に戻ることによって、「SAP導入プロジェクトとは」を曖昧な説明ではなく、「ゴール像を見据えたSAP導入時の進め方」の形で具体的かつ説得力のある提案ができると考えています。
SAPとPMOの経験を積み重ねていくことで、現場で具体的かつ実用的なアドバイスができるコンサルタントを目指しています。
