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CDS Viewとは?SAP S/4HANAのデータ基盤を支える仕組みと、レポート内製化への活かし方

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CDS Viewとは?SAP S/4HANAのデータ基盤を支える仕組みと、レポート内製化への活かし方

CDS Viewは、SAP S/4HANAの業務データを画面・分析・外部連携で使いやすく整える仕組みです。

ただし、役割を決めずに増やすと数値の定義や依存関係が複雑になり、保守しにくくなります。

本記事では、仕組みや活用方法、設計上の注意点を解説します。

CDS Viewとは?S/4HANAのデータを使いやすく整える仕組み

CDS Viewは、ABAP CDSのDDLで取得項目やテーブル間の関係、集計方法を定義し、SAPのデータを業務で使える形に整えます。結合や集計をデータベース側で行うため、必要な結果だけをアプリケーションへ返せます。

view entityは、DDIC SQLビューを別に作らず、CDSエンティティを直接定義する後継形式です。

関連記事:SAPとは?SAP製品の特徴やERPシステムを導入するメリット・注意点を解説

CDS Viewの構造|VDMの3層とProjection View

CDS Viewを役割ごとに層へ分けて構成する論理的なデータモデルが、VDMです。標準VDMでは、主にBasic、Composite、Consumptionという役割に分けてCDS Viewを構成します。実際の構成や名称は、製品バージョンや利用シナリオによって異なります。RAPはFioriアプリやAPI向けのSAP標準開発モデルで、必要な項目だけを公開するProjection Viewを使います。

VDMの層役割設計時の考え方
Basic View(基本)テーブルの項目を業務で使いやすい形に整える元テーブルへのアクセスは原則この層に集約
Composite View(複合)下位ビューを結合・集計する下位ビューを再利用し、元テーブルへ直接依存させない
Consumption View(消費)画面・分析・API向けに公開する利用目的に必要な項目・条件だけを公開
Projection View(射影)特定のサービスや利用目的向けに投影し、公開する項目や動作を調整するRAPのサービスや画面に合わせて、公開項目や利用可能な動作を限定する

下位のビューを上位から再利用する構成にすると、変更の影響を追いやすくなります。標準ビューを再利用する際は、目的とする利用方法に対してリリースされているかも確認します。

参考記事:SAP S/4HANA Cloudとは?メリットや導入事例、注意点を詳しく解説

CDS Viewでできること|Fiori・リアルタイム分析・レポート内製化

CDS Viewは、アノテーションによってFiori画面、OData連携、分析にも利用できます。主な活用方法は次の3つです。

  • 画面・外部システム連携・分析に同じデータ定義を活用できる
  • S/4HANAの業務データをリアルタイム分析に活用できる
  • 業務担当者によるレポート作成を支援できる

画面・外部システム連携・分析に同じデータ定義を活用できる

アノテーションはデータの用途を示す設定です。@UIはFiori表示、@Analyticsは分析に使い、同じデータ定義を画面・分析・外部連携へ再利用できます。

ODataとして公開する方法には、従来の@OData.publish: trueによる自動公開と、Service Definition/Service Bindingを使用する方法があります。RAPではService Bindingを通じて、環境や用途に応じてOData V2またはV4のサービスを公開します。

参考記事:ABAP CDS: SAP Annotations(SAP Help Portal)

S/4HANAの業務データをリアルタイム分析に活用できる

Embedded Analyticsでは、受注・在庫・会計など、S/4HANAの最新の業務データをFioriやSAP Analytics Cloudで確認できます。

即時確認に向く一方、全社横断分析や長期履歴、複雑な予実管理はSAP BW/BW/4HANAなどと使い分けます。

業務担当者によるレポート作成を支援できる

対応環境では、必要な権限を持つキーユーザーが、公開済みのデータソースをGUI上で組み合わせ、レポートや分析で利用する独自のCDS Viewを作成できます。

重複を防ぐため、SAP標準VDMを起点に、作成範囲と管理者を決めます。

関連記事:SAPの会計モジュールで業務効率化とデータ一元管理を実現!モジュールの機能と活用法も紹介

新旧のCDS Viewの違い|view entityとDDIC-based view

CDS Viewには旧方式のDDIC-based viewと後継形式のview entityがあり、利用可能な環境の新規開発ではview entityが基本です。

両者の主な違いは次のとおりです。

観点DDIC-based view(旧方式)view entity(新方式)
構文DEFINE VIEWDEFINE VIEW ENTITY
sqlViewName@AbapCatalog.sqlViewNameが必要不要
DDIC SQLビューDDICビューを別に生成生成しない
構文チェック従来仕様より厳格
クライアント処理クライアント処理方式をアノテーションなどで明示的に定義暗黙的・自動的に処理

view entityはDDIC SQLビューを別に生成せず、構文チェックも厳格です。開発者はADTを使用し、対応環境の業務担当者はCustom CDS Viewsアプリを利用できます。

既存ビューを移行する際は、BW抽出やABAP処理への影響を確認し、段階的に進めます。

関連記事:SAPがサポート終了!2025年(2027年)問題と対応方法を紹介

CDS View活用でのよくある失敗事例

CDS Viewの設計を誤ると保守性と性能が低下します。代表的な失敗は次の3つです。

  • VDMの階層を無視してビューを乱立させ、保守できなくなる
  • 標準で用意されたビューを探さず、似たビューを一から作り直す
  • 早い段階で絞り込まず、多数のテーブルを参照して性能が落ちる

VDMの階層を無視してビューを乱立させ、保守できなくなる

役割を決めずにビューを増やすと、利用先や変更の影響を追いにくくなります。Basic Viewはテーブルアクセス、Composite Viewは結合・集計、Consumption Viewは公開と役割を分け、依存関係を整理します。ノムラシステムコーポレーションでは既存ビューや後続レポートを確認し、改修の影響範囲を判断できる構成にします。

標準で用意されたビューを探さず、似たビューを一から作り直す

View Browserなどで標準CDS Viewを探し、目的とする利用シナリオに対してリリースされているかを確認してから再利用します。

早い段階で絞り込まず、多数のテーブルを参照して性能が落ちる

必要な項目と行だけを取得できるように条件を設計し、不要な項目の取得を避けます。JOINやassociationを含む場合は、フィルターが適切にデータベース側へ反映されているか、SQL実行計画と実測値で確認します。

CDS View活用で経営と現場の数字のズレを埋めるためのポイント

対象期間や集計条件が異なれば、経営層と現場で確認する数字にずれが生じます。同じ基準で確認するため、次の3点をそろえます。

  • 元データと計算条件を事前にすり合わせる
  • 経営指標と現場データを同じVDMに統合し、レポートを一本化する
  • 標準VDMを起点にし、作り込みすぎず内製と保守性を両立する

元データと計算条件を事前にすり合わせる

実装前に、元データ、対象期間、集計条件、誰が何を判断する数字かを確認します。例えば「売上」は受注日基準か請求日基準かで結果が変わります。既存帳票や計算ロジック、後続工程まで確認し、数値の意味をそろえてから設計することで、その後の修正や更新を進めやすくなります。

経営指標と現場データを同じVDMに統合し、レポートを一本化する

レポートを作成する際、経営向けと現場向けで異なる定義を使うと、数字にずれが生じることがあります。Basic Viewで元データ、Composite Viewで共通計算を定義し、用途別のConsumption Viewから再利用します。連携先や接続方式が対応している場合は、SAP Analytics CloudやBW/4HANAなどの分析基盤でも、共通化したデータ定義を活用できます。

標準VDMを起点にし、作り込みすぎず内製と保守性を両立する

まずSAP標準ビューを確認し、必要な差分だけを補います。独自ビューを抑えることで、アップグレードの影響と定義の重複を減らせます。

S/4HANA時代のデータ活用でCDS Viewを味方につけるために

CDS Viewは、SAP S/4HANAの業務データを画面・分析・外部連携で使いやすく整える仕組みです。データベース側で結合・集計するため、大量データの処理にも活用できます。設計ではBasic・Composite・Consumptionの役割を分け、まずSAP標準ビューを確認します。独自ビューは必要な差分に絞り、元データ、対象期間、計算条件を共通化します。性能面では取得対象を絞り、実測値を確認します。これにより、数値のずれ、ビューの乱立、性能低下を防ぎ、Fioriや分析、レポート内製化に活用しやすくなります。

ノムラシステムコーポレーションでは、CDS Viewの実装だけでなく、既存のレポートや計算ロジック、利用者の判断目的、後続工程まで確認します。SAP標準機能を生かしながら必要な追加開発を見極め、数値の定義をそろえた保守しやすいデータ基盤について、設計からテスト、運用・内製化まで支援します。

CDS Viewに関するよくある質問

ABAP CDSとHANA CDSはどちらを使うべきですか

SAP S/4HANA上の業務アプリ、Fiori、Embedded Analyticsなどで利用する場合は、ABAP CDSを使うのが基本です。本記事で紹介したview entityや各種アノテーションもABAP CDSの仕組みです。

HANA CDSはデータベース側で利用する別の仕組みです。S/4HANAのABAPアプリケーションと連携する一般的な開発では、まずABAP CDSを理解するとよいでしょう。

CDS Viewを導入すると既存のABAPレポートは作り直しになりますか

すべてを作り直す必要はありません。既存のABAPレポートや旧方式のCDS Viewは、利用環境や依存関係を確認しながら継続して利用できます。

ただし、利用可能な環境の新規開発ではview entityの利用が基本です。旧ビューを移行する場合は、BW抽出や既存プログラムがSQLビューを参照していないかを確認し、影響の小さい範囲から段階的に進めます。

標準で用意されているCDS Viewはどこで探せますか

View Browserや公開済みオブジェクトの一覧から、用途に合う標準CDS Viewを探します。ビュー名や説明だけでなく、利用できるシナリオとリリース状態も確認します。

特に重要なのは、見つけたビューが目的とする利用方法に対してリリースされているかを確認することです。未リリースのビューに依存すると、将来のアップグレードで影響を受ける可能性があります。分析用途では、利用環境に応じて分析クエリやFioriの分析アプリも確認します。

東京MXの番組で、ノムラシステムコーポレーションが取り上げられました。詳しい内容を知りたい方は、ぜひ下記のYouTube動画をご覧ください。

ノムラシステムコーポレーションの紹介動画


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