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SAP BWとは?BW/4HANA・S/4HANAとの違いと2027年保守終了後の対応

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SAP BWとは?BW/4HANA・S/4HANAとの違いと2027年保守終了後の対応

SAP BWは、SAP ERPなどの基幹データを分析用に統合・蓄積するデータウェアハウスであり、日々の伝票処理を担う業務システムSAP S/4HANAとは役割が異なります。業務処理から分析を切り離し、経営計画や連結を支えるBIレポートの土台となります。

本記事では、SAP BWの機能、BW/4HANAやS/4HANAとの違い、2027年末に迫る保守終了への対応の考え方までを解説します。

SAP BWとは企業データを分析用に統合するデータウェアハウス

SAP BWは、SAP ERPやSAP S/4HANAをはじめとする複数のシステムからデータを集め、分析しやすい形に整えて蓄積するデータウェアハウスです。

データウェアハウスとは、販売・購買・在庫・会計など、異なる業務で発生したデータを長期間保存し、横断的な集計や比較に利用するための基盤です。日々の伝票を登録する業務システムとは異なり、「売上が前年からどう変化したか」「予算と実績にどの程度の差があるか」といった分析に適しています。こうした、売上を地域別・商品別・期間別など複数の切り口から自由に集計・比較する分析は多次元分析と呼ばれ、SAP BWが得意とする領域です。

SAP BWでは、データをそのまま保存するだけではありません。システムごとに異なる商品コードや通貨、単位、計算方法を統一し、経営層や各部門が同じ基準の数字を確認できる状態に整えます。この、表記のゆれや重複・欠損を整えてデータの品質をそろえる処理はクレンジングと呼ばれ、信頼できる分析の前提となります。

データ処理の基本的な流れは、次のとおりです。

このようにSAP BWは、業務システムで発生したデータを、経営判断や業務改善に活用できる情報へ変換する役割を担います。

関連記事:基幹システムとは?ERPや業務システムとの違い、メリットや導入の流れ

参考記事:SAP Business Warehouse|SAP Help Portal

SAP BWの主な機能

SAP BWには、データの取り込みから加工・蓄積、レポート提供、運用管理まで、分析基盤に必要な機能が備わっています。主な機能は次のとおりです。

機能概要
データ抽出SAP・非SAPシステムから必要なデータを取得
データ変換コード、通貨、単位、計算方法を統一
データ蓄積分析用データや履歴データを長期間保存
データ統合複数データを結合し、分析モデルを作成
レポート作成指標、分析軸、集計条件を定義
運用管理定期更新、処理監視、エラー対応を自動化
標準コンテンツSAPが提供する分析用テンプレートを活用

実際のデータ処理や開発では、次のような機能・オブジェクトを使用します。SAP BWとSAP BW/4HANAでは、一部の名称や利用できるオブジェクトが異なります。

  • DataSource・ODP:元システムからデータを抽出
  • DTP:データの転送先や更新条件を制御
  • Transformation:項目変換や計算処理を実行
  • DSO・aDSO:明細データや履歴データを保存
  • InfoCube:従来のSAP BWで集計用データを格納
  • CompositeProvider:複数のデータを結合・統合
  • BW Query:指標や分析軸、集計条件を定義
  • Process Chain:データ更新や後続処理を自動化
  • Business Content:業務別の標準モデルを利用

これらを組み合わせることで、データの取得から加工、蓄積、レポート提供までを一連の流れとして構築できます。

関連記事:SAPモジュールとは?主要なモジュールの機能と関連性を解説

参考記事:DataSource|SAP Help Portal

SAP BW、BW on HANA、SAP BW/4HANA、SAP S/4HANAの違い

SAP BW、BW on HANA、SAP BW/4HANA、SAP S/4HANAは、名称が似ていますが、製品の役割や位置づけが異なります。SAP BW/4HANAはデータウェアハウス、SAP S/4HANAは基幹業務を処理するERPです。下記の表で違いをまとめました。

製品・構成役割データベース主な特徴
SAP BW分析用DWH複数DBに対応データ抽出・加工・蓄積/従来型オブジェクトを使用
BW on HANA従来BWをHANA上で稼働SAP HANA既存BW機能を継続/HANAで処理性能を向上
SAP BW/4HANAHANA専用DWHSAP HANAのみaDSO中心の構成/HANA向けに最適化
SAP S/4HANA業務基盤(ERP)SAP HANAのみ日々の業務処理/Embedded Analytics

このように、SAP BWとSAP BW/4HANAは分析するための基盤、SAP S/4HANAは業務を回すための基盤であり、両者は別基盤として並存します。

関連記事:基幹システムとしてSAP製品を導入する意味は?5つのメリットを徹底解説

参考記事:Comparing SAP BW/4HANA with SAP BW|SAP Learning

SAP BW/4HANAのデータモデル設計で押さえるポイント

データモデルの設計が不十分だと、レポートごとに数値が合わない、データ更新に時間がかかる、障害発生時に原因を追えないといった問題が生じます。ここでは、設計時に押さえたい4つのポイントを解説します。

参考記事:Introducing the Enhanced Layered Scalable Architecture(LSA++)|SAP Learning

データの取得元と更新頻度を整理する

レポートを設計する際は、何を確認し、どのような判断に使うのかを明確にしたうえで、必要な項目や対象期間、取得元、更新頻度を整理します。

取得するデータや集計対象の期間を事前に確定しておくことで、設計・開発後の手戻りを防げます。また、お客様と数値の認識をすり合わせる際は、試作画面や簡易的なレポートで可視化すると、完成イメージや集計条件を共有しやすくなります。

参考記事:Creating DataSources for ODP Source Systems|SAP Help Portal

用途に応じてデータの格納階層を分ける

取得したデータは、保存領域や全社共通の定義へ整える領域、レポートへ送信する領域などに分けます。処理の目的を階層ごとに決めることで、出力された数値に差異が出た場合も原因を特定しやすくなります。

ただし、データの階層を増やしすぎると、データの重複や処理時間の増加を招きます。決まった構成を機械的に当てはめるのではなく、レポートの用途、データの再利用範囲、後続のテストや運用を確認し、必要な階層に絞ることが重要です。

参考記事:Identifying the SAP BW/4HANA Layered Scalable Architecture(LSA++)|SAP Learning

コード・単位・計算ルールを統一する

複数のシステムを横断して分析する場合、商品コード、組織コード、通貨、数量単位、集計期間などの定義をそろえる必要があります。変換ルールを決める際は、項目名だけでなく、その数字を何の判断に使うのかまで確認することが大切です。

例えば、BPCを使って実績から予算を算出する開発では、「どの部品の、いつのデータを計算に使うか」をお客様と話し合って決めています。12月の数値が必要なところに10月のデータを使えば、大きな手戻りが発生するためです。

数値の定義や対象期間まで具体的にすり合わせることで、経営層と現場が同じ基準のレポートを確認できるようになります。

関連記事:観光業志望からITへ。顧客と向き合いながら“数字を動かす”BPC開発の現場|ノムラシステムコーポレーション

参考記事:Transformation in the SAP HANA Database|SAP Help Portal

再処理・履歴管理・性能まで考慮する

データモデルは、正常に更新できる場合だけを想定するものではありません。更新が途中で止まった際にどこから再実行するか、どの段階のデータを保持するか、数値の差異をどこで確認するかも踏まえて設計を行います。

設計段階での定義の精度が後工程に影響するため、お客様にとっての重要度を基準に優先順位を決めることで、プロジェクト全体の停滞を防ぎます。

参考記事:Generate Process Chain from Data Flow Object|SAP Help Portal

SAP BW 7.5のメインストリーム保守終了と延長保守後の対応

SAP BW 7.5のメインストリーム保守は2027年12月31日に終了し、2030年末までは延長保守を選択できます。延長保守では、保守料率に2パーセントポイントが上乗せされます。

例えば22%の場合は24%となりますが、実際の費用は契約内容や対象範囲によって異なります。延長保守は移行までの猶予期間であり、恒久的な対応ではないため、未着手の場合は、データフローやレポート、独自処理、連携システム、権限を洗い出し、継続・再構築・廃止を早めに整理することが重要です。

関連記事:SAPがサポート終了!2025年(2027年)問題と対応方法を紹介|ノムラシステムコーポレーション

参考記事:SAP NetWeaver 7.5 Maintenance Strategy|SAP Community

SAP S/4HANAへ移行した後もSAP BWは必要なのか

SAP S/4HANAへ移行しても、分析の対象が異なるためSAP BWが必ず不要になるわけではありません。各分析基盤における適している用途を下記の表でまとめました。

分析基盤適している用途
S/4HANA Embedded Analytics現在の受注・在庫・会計状況の確認/業務担当者によるリアルタイム分析/分析結果を踏まえた業務処理
SAP BW・SAP BW/4HANA複数システムを横断した全社分析/長期履歴の比較/複雑な集計や管理会計/実績と計画を用いた予実管理

例えば、在庫状況を確認して発注へつなげる場合は、S/4HANAの分析機能で対応できます。一方、複数の部門やシステムからデータを集め、過去の推移や予算との差異を共通の基準で確認する場合は、BW・BW/4HANA、または同等の機能を持つ分析基盤が必要になります。

そのため、S/4HANAへの移行を理由にBWを廃止するのではなく、レポートの目的や必要な履歴期間、データの取得元、予実管理の有無を確認する必要があります。現在の業務分析はS/4HANA、全社横断の分析や長期履歴、経営計画はBW・BW/4HANAと、役割を分けることが現実的です。

参考記事:Analytics|SAP Help Portal

SAP BWの役割を整理し、自社に適した移行方針を検討しよう

SAP BWは、複数のシステムからデータを集め、経営判断に活用できる形へ整える分析基盤です。SAP S/4HANAとは役割が異なり、全社横断の分析や長期履歴の比較、予実管理では引き続き必要となる場合があります。SAP BW 7.5の保守終了も見据え、現行のデータやレポートを棚卸ししたうえで、SAP BW/4HANAへの移行、SAP Business Data CloudやSAP Datasphereを活用したモダナイゼーション、既存環境の段階的な継続など、自社に適した方針を早めに検討することが重要です。

ノムラシステムコーポレーションは、SAP BWの技術的な移行だけでなく、各データやレポートがどの業務判断に使われているかまで確認します。お客様や関係者との認識をそろえ、データモデルの設計からテスト、移行後の運用までを見据えた計画づくりを支援します。

関連記事:SAPの導入企業事例10選(日本・世界)費用・導入の際の注意点も解説

東京MXの番組で、ノムラシステムコーポレーションが取り上げられました。詳しい内容を知りたい方は、ぜひ下記のYouTube動画をご覧ください。

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